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日本の大学進学率が低いのは問題?見方によって違ってくる

2018.2.7

日本の大学進学率は外国と比べると低い?大学進学率が低いのはよくないのでしょうか?日本の大学進学率が下がるのには理由があるの?

大学進学にはお金や地域などまざまな問題があるようです。将来のことを考えると大学進学よりも専門学校に行くべき?気になる日本の大学進学率について紹介します。

日本の大学進学率は低いというのは見方によって変わる?

日本の大学進学率は低いと言われていますが、世界各国と比較するとどのくらい低いのでしょうか?

あるデータによると、日本の大学進学率は約52%、OECDに加盟している国の平均が60%となっているため低いと言われているようです。

※OECDとは「経済協力開発機構」のことで、ヨーロッパの国々を中心に日本やアメリカを含め35ヶ国の先進国が加盟しています(2017年現在)。

さらにオーストラリアの進学率は100%!スウェーデンが約76%となっていて、日本はこんなにも低いのかと驚かされてしまうでしょう。

しかしこのデータにはいくつか問題点もあります。それは「生涯進学率の推定値を示したものであるということ」「海外からの留学生も含まれていること」「全ての国が大学・短大、専門・職業学校を区別しているわけではないこと」「フルタイムやパートタイムの学生を必ずしも区別していないこと」です。見方によっては変わってくるかもしれません。
日本での大学進学率は、18歳進学率となっていますが、データの上での進学率は生涯進学率となっています。日本の大学の入学者の90%以上は18〜19歳となっていますが、海外では高校卒業後すぐに入学せず、社会人を経験してから大学に入学する人が多いのです。そのため生涯進学率は18歳進学率よりも高い数値が出ると考えられます。

日本の大学進学率が低いのは仕方ない!?

2015年には高校を卒業した人の大学・短大進学率が過去最高を更新したと話題になりました。

この時は現役で大学・短大に進学した人が約58万人と増加し、現役進学率も54.6%に上昇し、これまで最高だった2010年度の54.3%を上回ったのです。そのため、入学定員を満たせなかった私立大学の数も減りました。

しかし、このまま進学者が増加するとは限りません。高卒者などの「18歳人口」で見ると、前年度よりも減っているのです。現役の進学者が増えた理由は、高卒者のうちの大学・短大に進学する割合が増加したためというよりは、18歳人口が減ったことによると言えるのです。

実際に当人を含む進学率はわずかですが減っており、過去最高だった2010年には達していません。大学や短学の入学者の増加数も1万人を切っているのです。

日本の大学進学率が外国に比べて低い理由

日本の大学進学率が外国と比較して低いと言われている原因の一つは、学費の高さでしょう。国公立大学に進学したとしても、ヨーロッパの国に比べて学費が高いと言われています。

学費には入学金や授業料はもちろん、下宿代、食費、交通費なども含まれていますが、OECD諸国の大学には学生寮が完備されているため生活費が安いのが特徴です。

ヨーロッパのほとんどの大学は国立大学です。そのため学費は安くなり、日本のように親の貧富の格差が子供の教育格差を生むということは少ないでしょう。さらに北欧では、幼稚園から大学院にまでの学費(寮費も含まれる)は無料となっているのです。

反対にアメリカの私立大学の授業料は大変高くなっています。1ドル=100円で計算した場合ですが、全米平均で1年間約250万円かかるという結果が出ています。これに寮費や教科書代などを含めると370万円以上かかることになります。州立大学の授業料については、全米平均で1年間66万円、その他の経費を含めた場合でも約180万円です。親又は自分が州税を払っていると優遇されるという条件はありますが、この金額であれば日本の国公立大学と同じくらいでしょう。

学校教育費用の国庫負担は日本は約3.5%となっています。それに対し欧州諸国は約7%。足りない分は私費で負担することになります。そのため日本の大学の学費が高くなっているといえます。

日本の大学進学率が低いのは地域性も関係している

日本の大学進学率は大都市と地方とでも差があります。都道府県別で調査したところ、最上位と最下位とで40ポイントも差が出てしまっているのです。親の家計状況と大学が大都市に集中していることが原因として考えられます。

4年制大学に進んだ高卒生の割合を、高校がある都道府県別に算出したところ、東京が1位。最下位は鹿児島となったようです。東京が70%を超えているのに対し、鹿児島は30%台なのです。

大都市圏では愛知と大阪が60%弱、京都と神奈川は65%弱となっています。

20年前と比較すると、進学率自体は伸びているようです。しかし、都道府県越の差は広まっています。

これは大都市圏で進学率が急上昇しているのが要因のひとつとして考えられます。反対に下位の都道府県は伸び率が鈍くなっているのです。

日本の大学進学率が低いのは専門学校のほうが就職しやすいから?

日本以外の国でも大学進学率を上げようとしています。その理由は大学教育によって人の能力を上げて、より高度な職業に就けるようにするためだと言われています。大学教育によって本当に能力(人的資本)が本当に上がるのかどうかは議論の対象にもなっているようですが、大卒者の方が給料も仕事の安定性も高いと言えるでしょう。

日本では親の収入が高いほど子供の大学進学率は上がっています。家計年収が300万円を下回る学生は大学で8.7%なのに対して専門学校は17.1%となっています。大学よりも専門学校の方が学費が高い場合が多いのにもかかわらず専門学校が選ばれているのは、就職率が高いからという理由なのかもしれません。

日本の大学進学率が50%になったのは2005年。今や高卒者の約70%が「専門・短大・大学以上の学歴」を持っている時代になりました。大卒の価値が下がってきているとも言われていますが、大卒が当たり前になりそうだから、名門や難関と言われる大学を目指すという人も増えているのではないでしょうか。

この記事の編集者

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