年末調整で必要な前職源泉はコピーでもいい?源泉徴収票について
2018.5.6
会社から年末調整に必要だから前職源泉の提出をするように言われたけれど、源泉徴収票はコピーでもいいのでしょうか?
退職・転職したときにはさまざまな手続きが必要となりますが、年末調整での前職源泉徴収票の提出もそのひとつとなります。
前職場に出してもらわなければいけない源泉徴収票は、なるべく早めに準備してもらうようにお願いしておく必要があるでしょう。
この記事の目次
年末調整で提出する前職源泉はコピーでも大丈夫?
新しい職場に採用された時は、前職の源泉徴収票の提出を求められます。なぜ前職の源泉徴収票が必要なのか、詳しくご説明していきます。
会社では、年末に年末調整を行わなければなりません。1月から12月まで働いていた従業員は、支払った給料を元に年末調整を行います。従業員の中で年の途中から採用となった人がいた場合、前職分の給料収入を含めた金額で年末調整を行わなければならないので、その時に前職の源泉徴収票が必要となってくるのです。
この時提出する源泉徴収票は、会社を通して税務署に提出されます。そのため、源泉徴収票のコピーでは書類不備として受け付けてもらえないのです。前職の源泉徴収票は、必ず原本を会社に提出しましょう。もし前職から源泉徴収票の原本を受け取っていない場合や入社までに紛失してしまった場合は、前職の勤務先に依頼すると発行(再発行)してもらえます。
年末調整にはコピーではない前職源泉が必要
自営業などをしている「個人事業主」は毎年、確定申告を行って1年間の収支と控除額などを計算し、所得税を納税します。サラリーマンなどの会社などから給与が支払われている「給与所得者」が、個人事業主と同様に確定申告してると、税務署の負担が大きくなります。社会人に圧倒的に多くいるこの「給与所得者」については、勤務先である会社が全員分の収入や控除を計算して所得税を決め、税務署の代わりに徴収して一括で支払うという仕組みを取っています。
先ほども述べましたが、年の途中で採用になった人の年末調整を行う場合は、前職の源泉徴収票も必要になってきます。転職した方は、前の勤務先から源泉徴収票を後日送られてくるという方が多いでしょう。しかし、新社会人の場合は注意が必要です。
新社会人は、前職がないと思いがちです。しかし、本当に前職が無いと言い切れるのでしょうか。アルバイトをしてお小遣いや生活費を稼いでいるという、大学生は少なくありません。このアルバイト収入もれっきとした「給与所得」になります。
「アルバイトの子だったし、源泉徴収票はいらないかな」と思い、発行をしてくれないというところはとても多いです。必ずアルバイト先に連絡をして、今年分の源泉徴収票を発行してもらいましょう。
年末調整で前職源泉(コピー不可)が必要な人とは?
年末調整で前職の源泉徴収票の原本が必要になるのは、年の途中で就職した方です。就職前に別の事業所などで給与が支払われていないかを確認するには、前職で発行された源泉徴収票しかありません。この確認ができない場合は、今の会社では年末調整を行うことができません。
もし、会社で年末調整を行ってもらうことができなかった場合、自分で翌年の2月に確定申告を行わなければなりません。その時も必ず前職の源泉徴収票(コピー不可)が必要となり、現在の会社から発行しもらった源泉徴収票と合わせて提出する必要があるのです。現職の源泉徴収票のみで確定申告すると、脱税とみなされて追徴課税を課せられる可能性が高いです。年末調整と確定申告、どちらにしても前職の源泉徴収票は必要になってきます。
年末調整では基礎控除の他、社会保険料控除や生命保険控除なども行います。社会保険料控除を前職でも控除されている金額があれば、現在の会社で控除した額と合算して計算をしてくれます。そのため、一括で様々な控除をして計算をしてくれるので、会社にお任せしたほうが所得税の計算が楽になりますし、間違いも起きません。
年末調整で前職源泉が必要なのは税金を払い過ぎたから?それとも足りないから?
社会人になると、会社から渡された年末調整のための用紙に記入したり、加入している保険などがあれば、その証明書を提出したりするのが毎年の恒例行事となります。この時、「年末調整をする=払いすぎた所得税を戻してもらう」と思い込んでいる方が多いようです。「12月の給与明細を見たら、所得税がいつもより多く天引き(控除)されている!」ということもあり得るのです。
年末調整は、毎月控除していた所得税の合計と一年間の総収入などから割り出した所得税を一致させるために行います。この時の総収入には前職源泉に記載されている金額も含まれます。毎月給料から控除していた所得税が多かった場合は、払いすぎた分を12月の給料で戻します。しかし、毎月の給料から控除していた所得税が足りなかった場合は、12月の給料から控除して清算するのです。
副業で別の会社から給料を支払われていたり、前職の源泉徴収票の発行が年末調整に間に合わないということもあります。その場合は、年末調整を受けることができませんので、翌年に確定申告を行う必要があります。
年末調整で前職源泉が必要な人はコピーを残して要チェック!
年末調整で前職がある方は、必ず源泉徴収票の原本を提出しなければなりません。この時、この源泉徴収票のコピーを必ず保管しておいてください。
現在の会社では前職の源泉徴収票を元にデータ入力をして、自分の会社で支払った給料などと合算した新しい源泉徴収票を発行してくれます。この新しい源泉徴収票を発行してもらった時に、コピーを取っておいた前職の源泉徴収票と照らし合わせてチェックしていただきたいです。
チェックが必要なのは、次の5項目です。
- 前職の会社名
- 前の職場の退職日
- 前職分の給料額
- 前職の会社で支払った社会保険料の金額
- 退職してから現在の会社に勤めるまでに支払った社会保険料の金額(国民健康保険などに一時的に入ったなど)
これらの項目が、新しい源泉徴収票に記載されているものと一致しているか、確認しましょう。
特に4と5の項目のチェックには要注意が必要です。もしこれらの金額が少なく記載されている場合、控除の金額が少なくなっている可能性があります。控除の金額が本来より少ない場合は、税金を多く支払うということになるのです。
もし間違っているところを見つけたり疑問に感じたことがあれば、すぐに会社に申し出てください。
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