アパートやマンションの管理費の消費税はどう決められているのか
2018.4.12
アパートやマンションに住むと、管理費や共益費や駐車場代などを支払いますが、それには消費税はかかっているのでしょうか?
消費税がかかるもの、かからないものにはいろいろな決まりがあるようですが、その疑問についてのお役立ち情報を調べてみました。
意外と知られてないことが多いようなので、これを機に今後の参考にしてみてはいかがでしょうか。
この記事の目次
アパートの管理費や共益費には消費税は課税?非課税?
共益費や管理費が設定されている賃貸物件を契約するときには、毎月支払う共益費や管理費に消費税はかかるのでしょうか?
アパートを借りる人も、貸す人も消費税がかかるのか、かからないのか気になりますよね。
共益費・管理費の消費税は全て非課税取引となります。
共益費の消費税は非課税扱いとして扱う事と定められています。
国税庁は、”住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を、居住者に負担させるものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税となる”と通達しています。
このため、共益費の消費税に関しては借家人も大家も消費税は非課税として仕訳となります。
法人で賃貸業を行っている場合には、経理処理の勘定科目として共益費を設定し非課税取引として仕訳となります。
では、あらかじめ家具や洗濯機などの付帯設備を備えている賃貸住宅はどうなるのでしょうか?
付帯設備があらかじめ設置されておりベットや洗濯機、エアコンなどの利用料金が賃貸料に全て含まれている場合の付帯設備利用料の消費税も非課税になっていますが、契約時に入居者の選択により付帯設備を設置する賃貸住宅などは課税扱いとなるので注意しましょう。
アパートの家賃・管理費・共益費にはどのように消費税がかかっているの?
家賃に消費税が課税されるかどうかは、どのように決まるのでしょうか?
賃貸借契約書においてその契約が事業用か居住用かによって違ってきます。
事業用家賃の場合は課税となります。居住用家賃の場合は非課税となります。居住用家賃が非課税とされている理由は社会政策的な配慮がされているためです。
- 契約において事業用と定められている場合・・・課税
- 契約において居住用と定められている場合・・・非課税
となるので注意しましょう。
では、契約形態と実態が異なる場合はどうなのでしょうか?
賃貸借契約書で居住用として契約した物件を、借主が勝手に用途変更し賃貸人に伝えずに事業用として使用していたとします。この場合、貸主との間で契約変更をしない限りは当初の契約通りとなり非課税となります。
課税や非課税の計算は、貸主が受け取る家賃の消費税計算に関係しています。用途変更するときには必ず、事前に貸主と相談しましょう。事業用に用途変更する契約をすれば、その変更後から課税となります。
アパートでの管理費についての消費税などの負担は決まっている
居住用マンションの場合の共益費等の取扱いとはどんなものなのでしょうか?
マンションやアパート等のような集合住宅は、家賃以外にも様々なものが定められていて共益費、管理費などがあります。
居住用マンションでは賃料は非課税となりますが、共有部分の共益費などの扱いはどうなるのでしょう?
共益費や管理費などのような、居住者が住宅を共同で利用するために認められるものは非課税となります。
では、家賃とは別のものとなる駐車場料、施設使用料などはどうでしょうか?
これは個別的内容によって決まります。家賃に含まれている場合は、非課税となります。賃料とは別に請求する場合は課税となります。
駐車場であれば車所有の有無にかかわらず1戸につき1台以上の駐車場がついている、ジムやプール等の施設利用料が住人以外が利用(有料)できるかどうかによって課税か非課税か決まります。
光熱費が家賃に含まれている場合は課税?それとも非課税?
電気、ガス、水道水の供給サービスを行っている居住用アパート住宅の場合は住宅の貸付けの対価に含まれるので非課税になると考えます。しかし、家賃又は共益費としての管理費負担額とは別に水道光熱費負担額の名目で収受する場合は住宅の貸付けの対価に該当しないので課税になると考えます。
アパートやマンションの駐車場は消費税はかかるもの?
土地の貸付は、1ヶ月以内の短期間のものでなければ非課税売上になります。
しかし駐車場はアスファルトや砂利敷きの舗装、フェンスなどが施してあるところがほとんどですよね。消費税法上は施設の貸し付けとしての扱いとなります。
このため、駐車場の収入は課税売上となります。
青空駐車のような舗装、区画、フェンス等の設置をしていないところであれば、土地の貸付に該当するので非課税となります。空き地を駐車場として貸し出す場合は消費税を納付する必要はないと考えられます。
アパートやマンションの駐車場は、駐車場付き住宅としてその全体が住宅の貸し付けとされているのであれば消費税の対象とはなりません。
その条件として
- 入居者について1戸あたり1台分以上の駐車スペースが確保されている
- 自動車の保有の有無に関わらず全戸に駐車場が割り当てられている
- 家賃収入を住宅部分と駐車場部分とで別々に受け取っていない
この条件ではなくとも消費税の免税事業者であれば駐車場収入は消費税の対象になりません。
土地を貸している人、借りている人どちらも消費税を請求された場合には支払う必要があります。
マンションでの管理費などの課税、非課税問題はこう決められている
毎月支払っている管理費や修繕積立金、駐車場使用料などに消費税は課税されるのでしょうか?
- 管理組合へ支払う管理費や修繕積立金は非課税。
- 大規模修繕工事にかかる費用として行なったローンも非課税。
- 敷地内の駐車場や専用の庭、バルコニーなどの使用料も非課税。
- 共用部分にかかる火災保険などの保険料も非課税。
- 共用部分にかかる電気や水道代などの光熱費は課税。
- 修繕積立金などから生じる預貯金利息は非課税。
- 敷地内駐車場を区分所有者以外の第三者へ貸与したときの使用料は課税。
- 屋上や外壁などに看板を設置した際の広告収入は課税。
- 管理会社へ支払う業務委託費も課税。
- 非収益事業所得に対しては非課税。
課税される場合においても、納税義務者は管理組合となるので個人が納税することはありません。
管理組合会計は利潤を追求する「企業会計」とは異なります。「公益法人会計」と同じ扱いになります。
修繕積立金は原則として修繕が行われた事業年度に経費となります。修繕積立金の支払いがマンション管理規約に沿って適正な管理規約に従って行われている場合は、支払った事業年度の経費となります。
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